俺は、どこにでもいる平凡なサラリーマンだった。 ただ、いつからだろう。 次第に、この街での暮らしに疲れを感じるようになった。 来る日も来る日も繰り返される仕事。 そして、終わることのない街の喧騒。 そんな毎日に、俺はすっかり嫌気が差していた。
今日から、俺の新しい生活が始まる。 昨日は長旅の疲れもあって、早々に床についたせいで、近所の様子をゆっくり見て回ることができなかった。 今日は、山の方へ行ってみるか。 「ん? この瓦礫の向こう……洞窟みたいだな」 暇を持て余していることだし、この瓦礫を片付けて、中に何があるのか見てみるか。 「ふぅ~、疲れた……。こんなに力を使ったのは久しぶりだな。これからは、ちゃんと体を鍛えたほうがよさそうだ」 瓦礫を片付け、俺は洞窟の中へと足を踏み入れた。 「なんだ……? ここ、誰かが暮らしていた跡があるような……」 そのまま洞窟の奥へと進んでいく。 そして最深部まで辿り着くと、そこには一台の寝台が置かれていた。 俺は警戒しながら、ゆっくりと寝台へ近づいていく。 「うわっ!! なんで白骨死体が!? びっくりした……!」 目の前に現れた白骨を見て、心臓が大きく跳ねる。 俺は慌てて、数歩後ろへと下がった。 しばらくして気持ちを落ち着かせると、再び洞窟の奥へと進んでいく。 「ん!? ここに机がある……。何か置いてあるみたいだな」 近づいてみると、机の上には一通の手紙と、一冊の『丹籍』と書かれた本が置かれていた。 俺はまず手紙を手に取り、封を開ける。 そこには、この白骨の主が何者だったのか、そして生前に何を経験したのかが記されていた。 手紙を読み終えた俺は、続いて『丹籍』を開く。 しかし、そこに記されている薬草の数々は、すでにこの世から絶えてしまったものばかりだった。 今となっては、探し出すことすらできない。 そして、最後のページをめくった。 「『凡品化形丹』……?」 俺は、そこに記された丹方を呆然と見つめる。 そこに書かれているいくつかの薬草は、先ほど山で見かけた草花と、よく似ていた。 気づけば、俺の鼓動は少しずつ速くなっていた。 もし……この丹薬が、今でも効果を発揮するのだとしたら。 それなら、俺は……。












